ライブハウスは軽音部ライブと別物

サウンドチェック、転換、ノルマ、終演対応——初出演で詰みやすい場面は、ワンマンや学園祭にはない要素ばかりです。当日の流れをひと通り想像できていれば、緊張が体力に変わります。
出演が決まってからやること
| 時期 | やること |
|---|---|
| 1〜2 ヶ月前 | 出演契約の内容を確認(ノルマ、チケット代、精算方法) |
| 1 ヶ月前 | 使用機材の申告。特殊な機材があれば相談する |
| 3 週間前 | セトリを確定。集客の告知を開始 |
| 2 週間前 | 通しリハで時間を実測。押しそうならこの時点で削る |
| 1 週間前 | 集合時刻・搬入方法・交通手段を全員で確認 |
| 前日 | 機材の動作確認。弦の張り替え |
最初の「契約内容の確認」を口頭で済ませると、精算のときに揉めます。ノルマの枚数、1 枚あたりの金額、バックの有無は、必ず文面で受け取ってください。
当日タイムライン(20:00 開演・2 番手の例)
| 時刻 | やること |
|---|---|
| 15:00 | 機材搬入、楽屋確認 |
| 15:30 | サウンドチェック(出順と逆順) |
| 16:30 | 自分たちのリハ(1〜2 曲) |
| 19:30 | 開場 |
| 20:00 | 本番開始 |
| 20:30 | 転換(10〜15 分) |
| 20:45 | 自分たちのステージ |
| 21:15 | 終演 → 物販 |
サウンドチェックは出順の逆から行う会場が多くあります。トリのバンドが最初にチェックし、機材をセットしたまま残す形です。進め方は会場によって違うので、当日のタイムテーブルで確認してください。自分たちの番までは待ち時間が長いので、そのあいだに楽屋で音を出さないよう注意してください。ステージに漏れます。
持ち物チェックリスト

- □ 楽器・シールド予備 2 本・ピック多め
- □ 弦の予備 1 セット、チューナー、ピックアップ電池
- □ スネア・ペダル・スティック(ドラマー)
- □ ステージ衣装、タオル、飲み物
- □ ID(年齢確認・ノルマ精算)、現金
- □ セトリ印刷(メンバー分+PA さん分+予備)
- □ 養生テープ(セトリをステージに貼る)
- □ 物販がある場合は釣り銭
サウンドチェックで PA さんに伝える 4 つ
- 編成:「Vo 1、Gt 2、Ba、Dr」と簡潔に
- 1 曲目の冒頭:イントロが静かか、ドラムからか
- 本番中の希望:「ボーカル前に出して」「ベースアタック強め」
- モニター:聴きたい楽器の優先順(Vo → Gt → キック)
PA に伝えるときは、抽象的な形容詞より具体的な指示のほうが伝わります。「もっと良い感じに」ではなく「モニターのボーカルを少し上げてください」と言ってください。判断はプロに任せる一方で、自分が何を聴きたいかは自分にしか分かりません。
転換 10 分でやることの順番
転換は前のバンドの撤収と自分たちのセッティングを同時に進める時間です。順番を決めておかないと、全員がステージ上で立ち往生します。
- 0〜1 分:前バンドの撤収を待つ。ステージ袖で待機
- 1〜4 分:ドラムのセッティング(スネア・ペダル・シンバル)
- 4〜6 分:ベース、ギターのアンプ設定とシールド接続
- 6〜8 分:ボーカルのマイクスタンド位置、モニターの確認
- 8〜9 分:全員でチューニング
- 9〜10 分:セトリを足元に貼る。PA へ合図
ドラムがいちばん時間を要するので、最優先で進めます。ギターとベースは待ち時間が発生するため、そのあいだにセトリの貼り付けや飲み物の配置を済ませておくと効率的です。
集客のためにやっておくこと
| 時期 | やること | ポイント |
|---|---|---|
| 1 ヶ月前 | 出演告知を投稿 | 日時・会場・チケット代を 1 枚の画像に |
| 3 週間前 | 個別に声をかける | 一斉投稿より直接連絡のほうが来場率が高い |
| 2 週間前 | 練習動画を短めに投稿 | 音が聴こえることが重要 |
| 1 週間前 | リマインドを投稿 | 会場までの行き方も添える |
| 前日 | 最終告知 | 当日券の有無を明記 |
| 翌日 | お礼を投稿 | 写真を添えると次に繋がる |
初出演から多くの人が集まるとは限りません。1 回で結果を出そうとせず、来てくれた人が次も来たくなる状態を作るほうが結果的に早く増えます。ノルマの仕組みについては チケットノルマって何? で詳しく扱っています。
初出演で戸惑いやすいこと
| 場面 | 戸惑うこと | 対応 |
|---|---|---|
| ドリンク代 | チケットと別に請求される | 出演者も対象のことがある。事前に確認 |
| 楽屋 | 他バンドと共用 | 荷物を広げすぎない。挨拶をする |
| 転換 | 何を自分でやるか分からない | スタッフの指示に従う。勝手に触らない |
| 精算 | いつ・どこで行うか不明 | 受付時に確認しておく |
| 撤収 | 終演後すぐに出される | 荷物は事前にまとめておく |
サウンドチェックの流れを具体的に知っておく
初出演でいちばん緊張するのがサウンドチェックです。何をされるか分かっていれば、落ち着いて対応できます。一般的な進行は次の通りです。
- ドラム:キック、スネア、タム、シンバルの順に単発で叩く。指示があるまで叩き続ける
- ベース:低音から高音まで一定の強さで弾く。ルート弾きで十分
- ギター:クリーンと歪みの両方を出す。本番で使う音量のまま
- ボーカル:普通に話し、次に本番と同じ声量で歌う
- 全員:1 曲の一部(サビなど)を合わせる
- モニター調整:各自が「何を上げてほしいか」を伝える
ここで遠慮するとライブ本番で困ります。聴こえない楽器があれば、その場で必ず伝えてください。PA はステージ上でどう聴こえているかを直接は分かりません。
本番中に起きやすいトラブルと対処
| トラブル | その場の対処 | 予防 |
|---|---|---|
| 弦が切れた | 残りの弦で弾き切る。MC で繋いでもらう | 予備の弦とギターを用意 |
| 音が出ない | シールドの抜き差しを確認。PA に手で合図 | シールドを予備に交換しておく |
| モニターが聴こえない | 曲間で PA に伝える | リハで本番と同じ音量を出す |
| 歌詞が飛んだ | ハミングで次のサビまで繋ぐ | 歌詞を足元に貼る |
| テンポが分からなくなった | ドラムのカウントに合わせ直す | 曲頭のカウントを決めておく |
どのトラブルも、起きたこと自体より対応の速さで印象が決まります。事前に「こうなったらこうする」を全員で共有しておけば、慌てる時間がなくなります。
終演 30 分で印象が決まる

ロビーで観客と話す、物販ブースに 30 分立つ、翌日 SNS でお礼を投稿する——終演直後の動き方で「次も来たい」と思われるかが決まります。演奏が終わったら終わり、ではありません。むしろここからが集客の始まりです。
他の出演バンドへの挨拶も忘れずに。対バンの繋がりから次の出演機会が来ることは珍しくありません。当日のセトリと MC ネタを Setlii で事前に整理して PA さんに URL で共有しておけば、印刷忘れのトラブルも防げます。
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